学費を払うためにカラダを売る女子大生風俗嬢が年々増加
ノンフィクションライター・中村淳彦さんは、新著『女子大生風俗嬢』(朝日新書)で、ここ10年、女子大生が風俗に続々と参入し続けているという驚愕の現実を伝えている。
これまでにも『日本の風俗嬢』(新潮社刊)、『ルポ 中年童貞』(幻冬舎刊)など、風俗業やアダルトビデオ業界についての著作に定評がある中村さんによると、どの風俗店にも一定数の女子大生風俗嬢が存在するという。
彼女たちがセックスワークを選ぶ理由は決して“遊ぶ金欲しさ”などではなく、ほとんどが「学費を払うため」だ。
いわゆるバブル世代と呼ばれる世代は、世帯収入が高く、大学の学費は親が支払うことが当然だった。
しかし、慢性的な雇用不安や格差拡大を背景に、現代では大学進学までの学費を負担できない家庭も多い。
多くの若者が、自力で学費を捻出しなければならなくなっているのだ。
さらに学費の高騰が学生たちを苦しめている。日本の大学の授業料は、近年上昇し続けており、1960年代の国立大学の授業料は、年間1万2000円だが、それが今では年間授業料は53万円にも上る。
貨幣価値の上昇を勘案しても、格段に高騰しているのは間違いない。
学費を払うために、長時間のアルバイトで疲弊し、学業が疎かになってしまっては本末転倒。
同書に登場する女子大生風俗嬢は、過労死レベルの“ブラックバイト”で消耗するよりも単価が高い風俗で働けて良かった、そのお金で海外留学したい、就職活動に集中したいと述べる。
向上心が高い学生ほどカラダを売っているという、皮肉な現象が起こっているのだ。
何も風俗までしなくても、学費が払えないならば“奨学金を利用すれば学費は賄えるのでは?”と考える人も多いだろう。実際に、経済的に進学が困難でも、奨学金の恩恵を受けて高等教育を受けるチャンスを与えられた人は多い。
だが、中村氏によれば奨学金制度は、使い方によってはかえって自分の首を絞めかねない面もあると述べる。
奨学金といえば日本学生支援機構(旧:育英会)の制度が代表的だが、同機構の奨学金には、無利子の第一種奨学金と、有利子の第ニ種奨学金があり、いずれも返済義務がある“貸与”だ。
大学卒業後も返せない人が続出し、訴訟にまで発展していることも知られている。
たとえば同書で取り上げた、沖縄県内の私立大学に通う20歳の女子大生は、第一種奨学金を毎月6万4000円、第ニ種奨学金を毎月12万円も借り、返済額は4年間で883万円にも上る。沖縄県内では、新卒の給与は手取りで14万円が平均。そのなかから毎月3~5万円を、15~20年にわたり返済していくことになる。
中村氏は、社会人へのスタートを切る時点で1000万円近くの借金を背負うことのリスクに警鐘を鳴らす。
もっとも、自己破産相当の高額な借金を負っているのは彼女だけではない。
沖縄県では、ほとんどの学生が奨学金で大学に進学している。最低賃金680円のアルバイトで年間100万円近くの学費を賄うのは難しく、勉強の時間と学費を確保するための割のいいバイトといえば、「風俗嬢とキャバ嬢くらい」(同書より)なのだという。(以下省略)
http://dot.asahi.com/dot/2015110500049.html
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