ウナギ:稚魚の国内養殖量が復活 うな重は安くなるか
ウナギ:稚魚の国内養殖量が復活 うな重は安くなるか
毎日新聞【田口雅士、神崎修一】 2014年05月29日 11時27分(最終更新 05月29日 13時29分)
右肩下がりだったウナギの国内養殖量が回復している。今年は3年ぶりに増加に転じ、過去最少だった昨年の約2倍を確保した。稚魚の取引価格も下落しているが、安くなった稚魚が成長して消費者に届くまで半年以上かかる。消費がピークを迎える7月29日の「土用の丑(うし)の日」までに、お値打ちのウナギが店頭に並ぶかは分からない。
今年のニホンウナギの稚魚(シラスウナギ)の国内養殖量は、水産庁の最新のデータがある4月23日時点で23.2トンと、2013年の12.6トンから回復した。ニホンウナギはマリアナ海溝付近で生まれ、稚魚のまま東アジアにたどり着く。近年は乱獲などで不漁が続いていたが、漁獲減少が一服した形だ。これに伴い取引価格も下落。水産庁によると、4月時点で稚魚1キロあたり30万円程度と、過去最高だった13年平均の247万8000円から値下がりした。
稚魚の価格が下がれば、うなぎ屋やスーパーなどの価格も下落しそうだが、そう単純ではないようだ。
養殖業者は年末から4月にかけて稚魚を仕入れ、半年から1年成長させて出荷する。いま店頭に出回るウナギは、昨年末から今年初めにかけて取引された稚魚が成長したものだが、この時点では漁獲回復がはっきりせず、稚魚は1キロ200万~250万円の高値で取引されていた。愛知県西尾市の「一色うなぎ漁業協同組合」の担当者は「安く仕入れた稚魚が出荷されるのは6~7月ごろ」と説明、夏には値下がりしそうだが、うなぎ店の経営事情が安易な値下げを許さない。
「来年以降どうなるか分からない。値下げは、仕入れ価格が安定的に下がってきてから」。1875(明治8)年創業のうなぎ専門店、高嶋家(東京都中央区日本橋小舟町)の鴛尾(おしお)誠一郎店主は慎重だ。昨年のウナギ高騰を受けて値上げに踏み切り、5年前に3200円だった最上級の「うな重・菊」は現在4400円。それでも仕入れ価格の上昇を転嫁しきれず、売り上げも減っている。千代田区内神田の「うな正」の斉藤裕介店長も「仕入れ価格が下がったとしても、しばらく様子をみたい」と話す。昨年、同業が周辺で2軒閉店した。水産庁は漁獲回復の理由について「生態に不明な点が多く、はっきり分からない」としており、先行きに自信を持てない。
夏季限定でうな丼を販売する大手牛丼チェーンは、「すき家」が昨年並みの799円、吉野家は「価格が高い時期に仕入れた」として、昨年より50円高い730円にした。大手スーパーのユニーは、国産養殖ウナギのかば焼きを、3年前より200円ほど高い1匹1980円で販売することが多い。同社は「仕入れ価格の下落が『土用の丑の日』に間に合うかは微妙」とみている。
まだまだ安くなるのは先かなぁ?
毎日新聞【田口雅士、神崎修一】 2014年05月29日 11時27分(最終更新 05月29日 13時29分)
右肩下がりだったウナギの国内養殖量が回復している。今年は3年ぶりに増加に転じ、過去最少だった昨年の約2倍を確保した。稚魚の取引価格も下落しているが、安くなった稚魚が成長して消費者に届くまで半年以上かかる。消費がピークを迎える7月29日の「土用の丑(うし)の日」までに、お値打ちのウナギが店頭に並ぶかは分からない。
今年のニホンウナギの稚魚(シラスウナギ)の国内養殖量は、水産庁の最新のデータがある4月23日時点で23.2トンと、2013年の12.6トンから回復した。ニホンウナギはマリアナ海溝付近で生まれ、稚魚のまま東アジアにたどり着く。近年は乱獲などで不漁が続いていたが、漁獲減少が一服した形だ。これに伴い取引価格も下落。水産庁によると、4月時点で稚魚1キロあたり30万円程度と、過去最高だった13年平均の247万8000円から値下がりした。
稚魚の価格が下がれば、うなぎ屋やスーパーなどの価格も下落しそうだが、そう単純ではないようだ。
養殖業者は年末から4月にかけて稚魚を仕入れ、半年から1年成長させて出荷する。いま店頭に出回るウナギは、昨年末から今年初めにかけて取引された稚魚が成長したものだが、この時点では漁獲回復がはっきりせず、稚魚は1キロ200万~250万円の高値で取引されていた。愛知県西尾市の「一色うなぎ漁業協同組合」の担当者は「安く仕入れた稚魚が出荷されるのは6~7月ごろ」と説明、夏には値下がりしそうだが、うなぎ店の経営事情が安易な値下げを許さない。
「来年以降どうなるか分からない。値下げは、仕入れ価格が安定的に下がってきてから」。1875(明治8)年創業のうなぎ専門店、高嶋家(東京都中央区日本橋小舟町)の鴛尾(おしお)誠一郎店主は慎重だ。昨年のウナギ高騰を受けて値上げに踏み切り、5年前に3200円だった最上級の「うな重・菊」は現在4400円。それでも仕入れ価格の上昇を転嫁しきれず、売り上げも減っている。千代田区内神田の「うな正」の斉藤裕介店長も「仕入れ価格が下がったとしても、しばらく様子をみたい」と話す。昨年、同業が周辺で2軒閉店した。水産庁は漁獲回復の理由について「生態に不明な点が多く、はっきり分からない」としており、先行きに自信を持てない。
夏季限定でうな丼を販売する大手牛丼チェーンは、「すき家」が昨年並みの799円、吉野家は「価格が高い時期に仕入れた」として、昨年より50円高い730円にした。大手スーパーのユニーは、国産養殖ウナギのかば焼きを、3年前より200円ほど高い1匹1980円で販売することが多い。同社は「仕入れ価格の下落が『土用の丑の日』に間に合うかは微妙」とみている。
まだまだ安くなるのは先かなぁ?
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